相続の不安を安心に変える〜予防的アプローチと人間味あふれる対応で依頼者との信頼関係を築く
東京都新宿区の「石原綜合法律事務所」の石原幸太弁護士(第一東京弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて話を聞きました。相続と不動産の両分野に精通し、予防的アプローチを重視する石原弁護士。相続発生前からの対策の重要性や、依頼者の心情に寄り添う丁寧な対応など、相続問題を扱う際に心がけていることを聞きました。
インタビュー
職人とサービス業の両輪
事務所設立の経緯を教えてください。
独立するまでに2つの事務所で経験を積み、2020年10月1日に現在の事務所を設立しました。
最初に所属したのは、企業法務や刑事事件を主に扱う法律事務所でした。弁護士になった当初から、3年程度で独立することを視野に入れていたため、1年半が経過した頃には「残りの1年半で独立に向けてしっかり準備しなければならない」と考えていました。
最初の事務所は一般民事をあまり扱っていなかったため、独立する前に一般民事の経験を積む必要があると思い、2つ目の事務所に移籍しました。そこで1年半ほど経験を積んだ後に、独立して現在の事務所を開設するに至ります。
新宿で開設したのはどのような理由ですか。
主に2つのポイントがあります。
まず1つ目は、交通の便です。裁判所のある霞が関へ丸ノ内線1本でアクセスできるという点が大きな魅力でした。仕事柄、裁判所への移動が頻繁にありますので、この利便性は非常に重要でした。
2つ目の理由は、依頼者にとってのアクセスのしやすさです。依頼者が来やすい立地に事務所を構えることが重要だと考えました。
しかし、法律相談という性質上、プライバシーへの配慮も必要です。多くの相談者は人目を避けたいという思いがあると考え、新宿の中心部ではなく、少し離れた新宿御苑を選びました。
事務所の理念を教えてください。
「職人としての専門性」と「サービス業としての親しみやすさ」の両立です。サービス業として依頼者が気軽に相談できる環境を整え、職人としての技術でしっかりと事案を解決する。それが当事務所の理念です。
法的問題だけでなく、依頼者の心もサポート
相続分野に注力している理由を教えてください。
人の内面、特に精神的な部分を重視しているからです。
相続は、親族の死という悲しい出来事から始まります。相続人の方々は、家族を失った深い悲しみの中で、遺産分割などの手続きを進めなければなりません。そこで争いが生じれば、大切な人を失った悲しみと、財産を巡る争いという二重の苦しみを味わうことになります。
そんな状況に直面している方々を少しでも救いたい、支えたいという思いがあります。法律的な解決だけでなく、依頼者の精神的な負担を軽減し、心のサポートもできる点が相続分野に注力している理由です。
どのような相談が多いですか。
親(被相続人)の金銭管理に関する問題です。具体的には、親の面倒を見ていた方が、親の死後に他の相続人から「使途不明金がある」として訴えを起こされるケースです。私のところに相談に来られる方は、比較的、訴えられる側の方が多いです。
こうした相談を受けた際の解決方法としては、まず最初に通帳の写しなどの金融記録を確認するところから始めます。特に支出の部分に注目し、それぞれの支出について理由を説明できるかどうかを確認します。可能であれば、領収書などの証拠資料も確認します。
しかし、多くの方が後々こういったトラブルになるとは思わずに生活をしているため、領収書などの証拠を残していないケースが多いです。そのため、過去の支出を一つ一つ丁寧に紐解きながら、どのような方法で説明すれば裁判所が認めてくれるかを考え、正当性を説明していくことになります。
相続案件を手がける上で心がけていることはありますか。
依頼者の心情に寄り添うことです。相続の相談は多くの場合、四十九日を過ぎてから寄せられます。多少は気持ちが落ち着いているものの、まだ心に傷を負っている状態です。そのため、依頼者の気持ちに配慮しながら対応することを意識しています。
ただし、依頼者の感情に寄り添うだけではなく、現実的な視点も大切です。依頼者にとって都合の良いことばかりを伝えても、最終的に裁判や調停で負けてしまっては意味がありません。
依頼者の気持ちに寄り添いながらも、法律家として現実的な見通しをしっかりと伝え、依頼者が納得のいく解決に導くように心がけています。
また、相続案件は非常に複雑で、理解が難しいポイントが多くあります。依頼者にとっては、これらの内容を言葉だけで説明されても、理解するのは難しいと思います。そこで、ホワイトボードを使いながら、丁寧な説明を心がけています。
初回相談の流れを教えてください。
相談の申し込みは通常、メールや電話で受け付けています。最近では、Zoom会議や電話会議を希望する方も増えてきましたが、私は原則として対面での相談をお勧めしています。
その理由は、非対面では依頼者の表情や雰囲気、そして私からの温度感が十分に伝わりにくいからです。法律相談は単なる情報のやり取りではなく、信頼関係を築く大切な機会でもあります。ですから、可能な限り事務所にお越しいただき、直接お会いして相談を受けるようにしています。
また、初回相談で最も意識していることは、その場での契約を急がないということです。なぜなら、依頼者に十分に考える時間を持っていただき、信頼関係を築いた上で依頼してもらいたいと考えているからです。
そのため、相談の最後には「一度お持ち帰りいただいて、じっくりご検討ください」とお伝えすることが多いです。さらに、「もし良ければ、他の弁護士にも相談してみてください」とも付け加えます。ただし、緊急性が高い案件や、初回相談の際に依頼したいと仰っていただける場合には、初回相談の際に契約を締結することもございます。
依頼者が自身で比較検討した上で「やはり石原がいいな」と感じていただけたら、その方が私としても嬉しいですし、信頼関係も築きやすいと考えています。
生前対策の重要性を説いていく
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
相続発生前と発生後のどちらにも多くのメリットがあります。
相続発生前の段階では、将来起こり得る紛争を未然に防ぐための準備ができる点です。例えば、将来被相続人となる方の財産管理をしている方であれば、他の相続人から「使途不明金がある」などと訴えられることがないよう、日々の支出の記録方法や、必要な証拠の保管方法など具体的なアドバイスを受けることが可能です。
また、最近増加している問題として、被相続人の認知症に関するトラブルがあります。遺言書を作成した際に、その時点で遺言能力があったかどうかが問われるケースが少なくありません。このような事態に備えて、遺言書作成時の状況をどのように記録し、証拠を残すべきか、専門的な助言を得ることができます。
さらに、相続手続きは複雑で、時に膨大な資料を必要とすることがあります。法律に則った適切な手続きを進めるのは、専門知識がない方にとっては非常に困難です。弁護士に相談することで、このような複雑な手続きを正確かつ効率的に進めることができます。
最後に、相続は親族間の問題であるため、往々にして感情論が先走ってしまい、話し合いがまとまらないケースがあります。このような場合、第三者である弁護士が介入することで、交渉を円滑に進めることが可能になります。
相続分野における事務所の強みや特徴を教えてください。
相続問題が紛争化する前からの相談に対応できる点です。法律事務所は多くの場合、紛争が発生してから対応を始めることが一般的ですが、紛争が起こる前の段階から積極的に相談に乗り、問題の芽を事前に摘み取ることを重視しています。
被相続人が亡くなる前から相談を受けることで、適切な法的助言ができ、将来的に発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことが可能です。この事前の準備が、相続発生後のスムーズな解決につながると考えています。
また、当事務所では不動産分野にも注力しているため、不動産の評価や取り扱いについて、専門的なアドバイスを提供できます。
例えば、相続で不動産が問題になる場合には、不動産会社の協力を得て、無料で査定を行なったり、売却価格の目安を提示することが可能です。さらに、不動産を売却する際には、信頼できる業者を紹介し、売却手続きまでスムーズに進められる体制を整えています。
今後の展望としてどのような考えをお持ちですか。
生前の対策にさらに注力していきたいと考えています。相続問題は、相続発生後の対応を求められることが多いですが、被相続人の生前から準備をすることによって、より適切な手続きが可能になります。
生前対策には、遺言書だけでなく、後見や信託など財産管理を目的とした制度もあります。しかし、一般の方にはまだまだ馴染みが薄いのが現状です。そのため、こうした生前対策の制度や仕組みを依頼者にしっかりと伝え、事前に準備を整えてもらうことが重要であり、それを広く周知してもらうことが課題だと考えています。
最後に、相続トラブルを抱えている方へメッセージをお願いいたします。
多くの方が、弁護士への相談に対して「敷居が高い」と感じていらっしゃるかもしれません。しかし、私の事務所では、そのような心配は無用です。皆様が気軽に何でもご相談いただける、そんな雰囲気作りを心がけています。
「自分の悩みは法的問題なのだろうか」「こんなことを相談してもいいのだろうか」といった心配は不要です。法的に問題となる事柄については、私が適切なアドバイスや助言をさせていただきます。また、法的問題に該当しない場合でも、別の解決方法や相談先をご提案できるかもしれません。
初回相談は1時間無料ですので、まずは気軽にご連絡いただき、事務所に足を運んでいただければと思います。1人で悩みを抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。