自分の財産を適切に承継し、家族みんなが幸せに〜生前対策に注力し、円満な相続をサポート
東京都港区で「万里一条法律事務所」を経営する石濱嵩之弁護士(東京弁護士会所属)に、事務所として大切にしている理念や、相続問題に取り組む際の心構えなどについて聞きました。相続の案件の中でも、特に生前対策に力を入れている石濱弁護士。丁寧なヒアリングを通して依頼者の意向を把握し、相続発生後に財産をスムーズに承継してもらうための方法を提案しています。
インタビュー
新しい挑戦をする人を法律面から支えたい
弁護士を目指したきっかけや、事務所設立の経緯について教えてください。
子どもの頃から文章を書くのが好きで、将来は出版や編集などの仕事をしてみたいと思っていました。弁護士に興味を持ったのは大学時代です。法学部に進学したのですが、講師として授業を担当していた弁護士の先生が、「弁護士は文章で人を納得させる仕事」という話をしていたんです。その話が印象に残り、もしかしたら自分に向いているかもしれないと思ったことが弁護士を志したきっかけです。
弁護士登録後は都内の法律事務所に勤めて経験を積み、2020年9月に「万里一条法律事務所」を設立しました。同じ時期に、「税理士法人 日本国際会計」も設立しました。私自身が税理士として登録し、こちらの代表を務めております。
事務所の理念や、大切にしていることを教えてください。
個人的に先端分野に興味があり、新しい挑戦をする人たちを法律面でサポートしたいと考えています。当事務所のクライアントには中小企業の経営者の方が多いのですが、企業法務に関することだけではなく、人間関係やお金など様々な悩みの解決をサポートすることによって、心置きなく、新しい挑戦をしてもらいたいと考えています。
経営者の方から相続に関する相談を受けることも多く、法人なら事業承継なども問題になってきます。弁護士として支えになりたいという気持ちで取り組んでいます。
生前対策を行い、誰も損をしない、スムーズな相続を実現
相続案件を手掛ける上で、大切にしていることを教えてください。
生前対策をしっかりと行うことです。後に残される方が誰も損をしないようにという観点から、財産をお持ちの方自身の意向も踏まえて、最善の対策を提案することを心がけています。
もちろん、相続発生後のトラブル解決にも対応していますが、一度揉めてしまうと解決までに時間がかかりますし、なかなか全員が満足する結果にはならないことが多いです。それがわかっているので、事前に対策しておくことで全員がハッピーになれると考え、力を入れています。
生前対策の相談を受けた場合の流れとしては、まず「誰が相続人なのか」をしっかりと聞き出します。さらに、どんな財産が承継の対象として考えられるのか、金額も含めてリストアップします。そしてどの財産を誰に引き継いでほしいか、ご本人が亡くなるまでの間に財産をどう利用したいか、といった希望をヒアリングします。
対話を重ねる中で、財産を残す方が実現したい承継の仕方が見えてきます。その希望を踏まえ、税務上の観点も交えながら、様々な方法を提案していきます。
生前対策としては、遺言書で財産の承継の仕方を指定することが最も一般的ですが、当事務所では家族信託をお勧めする場合もあります。家族信託とは、認知症などに備えて、判断能力があるうちに信頼できる家族などに財産を託し、ご自身の意向に沿って管理や処分をしてもらう仕組みのことです。財産を託す相手や目的、期間などはご自身で自由に決められます。
相続について、先生の事務所に相談するメリットを教えてください。
やはり、多角的な視点で提案ができることが大きいと思います。生前対策に限らず、多岐にわたる法分野ついて多くの相談を受け、事件処理をしてきましたので、知識と経験を活かし、先に挙げた遺言や家族信託などの中から、依頼者の事情に合った方法をお勧めすることができます。
また、遺言に書くことや信託の契約内容についても、依頼者の意向や相続人の関係性、財産の内容などを踏まえて、適切な内容を提案します。
もちろん、生前対策だけではなく、相続が発生した際の遺産分割の交渉や協議書作成などの手続きも承っています。税理士法人の代表も務めていますので、相続税の申告もワンストップで対応可能です。
相続トラブルの相談はお早めに。迅速かつ妥当な解決に導きます
これまでに手がけてきた相続案件の中で、印象に残っているものを教えてください。
被相続人から、同居していた長男にほぼ全ての財産を承継するという遺言があり、他の兄妹が知らぬ間に親の財産がすべて長男のものになっていたという事例がありました。兄妹側から依頼され、遺留分の主張をすることになりました。相手側にも弁護士がついたので、相手方の先生と金額調整をして、最終的には遺留分に相当する金額を取り戻すことができました。
一般的にですが、対立状態になっているケースで相手方に弁護士がついた場合は、こちらも弁護士を立てた方が、スムーズに解決する可能性が高くなります。
双方に弁護士がついた場合は、弁護士同士が交渉をしていきます。相続人同士で話をするとどうしても感情的に対立しがちですが、代理人同士は自分の依頼者の法的な権利や希望について主張しながら淡々と交渉を進めていきます。当事者同士で話し合うよりも、弁護士が入ったほうが、迅速かつ妥当な解決につながるでしょう。
もう1つ印象的なのは、現在手がけている案件です。相続人が4人いて、そのうちの1人に対して他の3人が「遺産分割協議書に同意しろ」と詰め寄り、本来は同意したくなかったのにサインしてしまったというケースです。サインをしてしまった方から、「無効にできないか」という相談を受け、受任しました。
当時の状況を鑑みると、民法第96条の脅迫による意思表示として無効を主張できる可能性があります。ただ、録音などの証拠がなく、どのように立証すべきか検討しているところです。
このケースでは、相続人同士で集まって遺産の分け方を話し合う中で、それぞれが「自分が損をしないように」と考えて立ち回った結果、1人が割を食ってしまったという状況でした。私がもっと早く介入できていたら、全員が損をしない分け方を提案できたと思います。
やはり、早め早めに相談してほしいということですね。
その通りです。弁護士に依頼するという選択肢が浮かぶのは、「揉めてしまい、あとは裁判しかない」という段階になってから。そのような方が多いと思います。
ですが本当は、まだ揉めていない段階から相談していただきたいです。話し合いを始める前に相談していただければ、遺産の分け方などに関する法律のルールや、スムーズに話し合いを進めるポイントなどをアドバイスできます。ぜひ、法律の専門家による客観的な意見を参考にしていただきたいと考えています。
もちろん、早めという意味では、相続発生前に対策をしておくこともぜひ検討していただきたいです。
最後に、相談や依頼を検討している方へのメッセージをお願いいたします。
そもそも人間は、新しいことや慣れないことに取り組むのをとても面倒くさがる生き物らしいのです。現状維持でいようとしたり、嫌なことを見ないようにするのは、脳の構造上、仕方がないこと。ですが、そこを乗り越えて、相続について一度しっかり考えてほしいと思います。
特に、財産を持っている方には生前対策の重要性を伝えたいです。今はご自身の財産ですが、亡くなった後は、残された家族に引き継がれます。誰に、何を、どのくらい引き継いでもらうかを考えて適切な対策をしておくことで、残された方々が相続トラブルに直面することを防げます。
相続をきっかけに、関係性にヒビが入ってしまうか、良好な関係を維持できるかーー。財産を残す方の決断にかかっていますので、ぜひ前向きに検討してみてください。
相続について悩んでいる方は、まずは電話やメールなどで概要をお聞かせください。最初の問い合わせ段階では費用は発生しませんので、少しでも気になることがある方は、気軽にお問い合わせいただければと思います。