親子二代の法律事務所。それぞれの長所を活かして依頼者の利益を最大化できるよう全力を尽くします
大阪市北区堂島にある、親子二代で営む「豊島法律事務所」。弁護士として35年のキャリアを持つ豊島秀郎弁護士と、豊島秀郎弁護士に憧れて弁護士になったという豊島健司弁護士に、事務所として大切にしていることなどを伺いました。相続について弁護士に相談・依頼するメリット、相続案件を手がける上で心がけていることなども詳しくお話いただきました。(大阪弁護士会)
インタビュー
親子二代の歴史ある法律事務所
先生方のご経歴や事務所の歩みなどを教えてください。
豊島秀郎:私は広島出身で、大学は早稲田大学法学部に進みました。1988年に弁護士になり、長年、他の弁護士と共同で事務所を構えていましたが、2013年から一人で事務所を経営するようになりました。
豊島健司:私は京都大学法学部・京都大学法科大学院(ロースクール)を卒業後、2019年に弁護士になり、その後、当事務所に入りました。父の影響で弁護士を目指したこともあり、こうして父のもとで仕事ができることは感慨深いものがあります。
親子二代で事務所を運営するメリットは、どういったところがありますか。
豊島健司:父と私は、年齢も離れていますし、弁護士としての経験は約30年違います。通常の事務所であれば、なかなか意見が言いづらかったり、本音で話しづらい部分もあるんじゃないかと思います。
その点、私たちは親子なので、言いたいことを言い合えるのはメリットです。性格はもちろん違いますが、ベースとなる価値観や考え方は似ているので、事務所の方針や案件の処理方針などで衝突しにくい点もメリットだと思います。
一つの案件に対して、お二人で対応されるのでしょうか。
豊島健司:はい。打ち合わせや裁判・調停などは2人で対応しています。書面作成では主担当を決めますが、互いにチェックし合ってより良いものを作っています。
それぞれの長所を活かしバランスよく対応
事務所として、どういったことを大切にされていますか。
豊島秀郎:真摯な姿勢で、丹念に事情を聞き取ることを大切にしています。そして、依頼者の利益をできる限り最大化することです。そのために、文献や裁判例などを徹底的に調べ、一つひとつの案件に丁寧に対応しています。
事務所の特徴や強みを教えてください。
豊島秀郎:私は弁護士として35年になりますので、そこで得られた知識と経験を使って的確に見通しを立てたり、様々な解決策を提案できます。
他方で健司は弁護士としての経験は私よりも短いですが、法改正や裁判例をはじめ最新の情報を集めるスキルに長けていますし、若い分フットワークも軽いです。特に若い依頼者にとっては、同年代の弁護士のほうが話しやすいという場合もありますね。長所の違う2人が一つの事務所に所属しているということは、当事務所の特徴であり強みです。
豊島健司:そうですね。父と私は年代も違いますし、良い意味でキャラクターも違います。依頼者が安心して解決に向かえるように、お互いの長所を活かしてバランスよく対応することを大切にしています。
相談者・依頼者とのコミュニケーションで、どういったことを心がけていますか。
豊島健司:相談者・依頼者の中には、緊張したり、なにから話せばよいかわからないという方もいらっしゃいます。そういう場合でも、色んな角度から質問したり、時系列の確認や話の整理をしながら、必要な事情を丁寧に聞き取るように意識しています。
こちらから法的なアドバイスや手続きの説明をするときも、できる限り難しい言葉や専門用語を使わないように心がけています。
相続は身近なトラブルでありながら難しい分野
相続分野に力を入れている理由は、どういったところでしょうか。
豊島秀郎:相続トラブルは誰にでも起こりうる問題ですが、法律や手続きが難しい分野なんです。
単に法定相続分で分ければよいという単純な話ではありません。そもそもどこにどういう遺産があるのか調べるにも労力がかかりますし、不動産が遺産に含まれている場合は権利関係や評価額をめぐって争いになることもあります。遺言の有効性や遺留分侵害額請求など難しい問題も多く、その上、相続人同士の感情的な対立も激しいわけです。
こうした問題について、相続人自身が対処することは至難の業です。弁護士がサポートできる部分が大きいので、力を入れています。
相続に関して、どういったご相談が多いでしょうか。
豊島健司:一般的な遺産分割から難解な遺留分侵害額請求まで幅広いです。すでに起こった相続に関しては何かしらもめている状態で相談に来られる方が多いですね。トラブルにならないように遺言書を作りたいというご相談もよく受けています。
遺産分割ではどういった部分が問題になりますか。
豊島健司:ケースバイケースですが、使途不明金が問題になることは多いです。たとえば被相続人(亡くなられた方)の生前に、ある相続人にお金が渡っているとか、そもそもお金がどこにいったか分からないケースが多いです。
また、どの銀行に口座があるか分からない、被相続人の財産を管理していた相続人が通帳を見せてくれないといったケースもあります。
相続分野を手がける上で、心がけていることを教えてください。
豊島秀郎:相続に限りませんが、他の弁護士よりもよい結果を導けるように心がけています。そのために相続制度自体をしっかり確認するのはもちろん、法律知識や裁判例などを徹底的に調べています。
豊島健司:相続トラブルは感情の対立が激しいので、感情論と法律論を区別するように心がけています。たとえば、依頼者のお気持ちは非常によく分かるけれど、法律的には通らないという場合も少なくないんです。
依頼者の要望を実現できる部分、できない部分があるわけですね。そういう場合は、どうやって依頼者の理解を得ていくのでしょうか。
豊島健司:必要に応じて法律や裁判例などの根拠を示して、何度も丁寧に説明するようにしています。そうすることで、大半の依頼者は納得してくださいます。
自分で対応できるか判断するためにも弁護士に相談を
相続について、弁護士に相談や依頼をするメリットはどういったところでしょうか。
豊島秀郎:相談するメリットは、専門的なアドバイスを受けられるところです。依頼もするメリットがあるかは、突き詰めれば、手に入る遺産が増えるかどうかだと思います。手に入る遺産が増える見込みが薄く、手続きも自分でできるという状況であれば、弁護士費用がかかるだけでメリットはないと言えるでしょう。
他方、不動産の評価が問題になっているケースや、特別受益や寄与分の主張が通る見込みがあるケースでは、依頼するメリットがあると思います。
もちろん実際に増える保証はできませんが、場合によっては被相続人の財産を発見できたり、使途不明金を取り戻せるケースもあります。交渉や調停などにも慣れていますので、主張の仕方や証拠の出し方についても、きちんと戦略を立てて行えるのもメリットです。
早めに弁護士に相談したほうがよいのでしょうか?
豊島健司:多くの場合は、一刻も早く相談しないと致命的になるという話でもありません。
ただ、やはり、もめそうなケース、あるいはすでにもめているケースでは、早めにご相談いただくほうがよいです。早くご相談いただくことで、その分早く不安やストレスが軽くなるというメリットもあると思います。
先生の事務所に初めて相談する場合、どういう準備をしておくとよいでしょうか。
豊島健司:家系図のような感じで、相続人の一覧を書いてご持参いただくと話がスムーズです。また、遺産の内容をメモに書いていただいたり、通帳などの資料もあればお持ちください。相談時間は、ケースバイケースですが初回は1時間から1時間半程度ご予定ください。
相談後に依頼したい場合の弁護士費用についても、初回相談時に教えていただけるのでしょうか。
豊島健司:はい、もちろんです。私どもの方針や費用を踏まえて、その場で依頼すると決めていただいても、一旦持ち帰って考えていただいても構いません。
相続について悩み、弁護士への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
豊島秀郎:相続は、皆さんがイメージしているよりも難しい分野です。相続人同士でもめていたり、疑問や不安に思うことがあれば、まず一度弁護士にご相談ください。
そのうえで、「弁護士に依頼するまでもない」という場合は、きちんとその旨をお伝えしますのでご安心ください。自分で対応できるのか、弁護士に頼んだほうがよいのか判断するためにも一度ご相談いただければと思います。
豊島健司:弁護士は敷居が高いと思われがちですが、我々の立場からすると、もうちょっと早く来てくれればよかったのにと思うことはよくあります。「この段階で弁護士に相談してよいのだろうか」と思った時がベストタイミングかもしれません。お気軽にご連絡ください。