相続対策から紛争解決、税務の問題まで広く対応〜悩みの先送りは禁物。友達のように気軽に相談を
兵庫県神戸市垂水区、JR神戸線垂水駅からすぐの場所に「神戸マリン綜合法律事務所」を構える西口竜司弁護士に、相続案件を手がける上で心がけていることや事務所の強みを聞きました。トラブルの早期解決、そして、そもそもトラブルにならないように準備するためには、早めの相談が重要だと話す西口弁護士。相談しやすい環境づくりのために大切にしていることも聞きました。(兵庫県弁護士会所属)
インタビュー
弁護士への敷居をもっと低くしたい
事務所設立の経緯について教えてください。
2007年に弁護士登録し、最初の事務所で1年、移籍した事務所で4年勤務して経験を積みました。その後、2013年に独立して垂水区に現在の事務所を開設しました。
神戸の中心部である三宮にはたくさんの事務所がありますが、垂水にはそれほど多くありません。地元の方が抱える悩みに、幅広く対応できる事務所でありたいと思っています。
事務所の理念や、大切にしていることを教えてください。
ホームページのトップにも「友達みたいに気軽に相談ができる」と書いているのですが、弁護士に対する敷居をできるだけ低くしたいとずっと考えています。
特に高齢の方は、「法律事務所なんてよっぽど重大なことがない限り行かない」という方がほとんどです。問題がこじれてしまってから相談に来る方も少なくなく、そういう方のお話を聞いていると、「早めに相談してくれればもっとできることがあったのに…」と思うことも多々あります。
もっと気軽に、言うなれば喫茶店に行くような感覚で事務所に来て欲しいなと思っています。当事務所には女性弁護士も2名在籍しているので、女性のほうが話しやすいという方のニーズにも対応可能です。2人とも雰囲気が柔らかく話しやすい弁護士ですよ。
相談室には、私の趣味であるアメフトのヘルメットやユニフォームを飾って、堅苦しくない雰囲気づくりを心がけています。また、YouTubeでの発信も積極的におこなっています。ホームページの写真や文章だけでは、私がどんな人かが伝わりにくいと思ったんです。実際に話している映像を見てもらうことで私の雰囲気や人柄を伝えられるかなと思い、活用しています。実際に、YouTubeを見て相談に来ました、という方も月に数人いらっしゃいます。
依頼者の想いをしっかりと受け止めた上で対応します
相続案件に注力している理由を教えてください。
当事務所がある垂水区は住宅街が広がるエリアです。開業当初より、地元の方から相続の相談を多く受けてきました。ニーズが高い分野なので自然と力を入れるようになり、現在は当事務所で扱う一般民事事件の約半分が相続案件です。
相続について、どのような相談が寄せられますか。
生前対策から相続発生後の紛争解決まで幅広い相談が寄せられます。その中でも特に多いのは、「笑う相続人」と呼ばれる人が絡む問題です。「笑う相続人」とは、被相続人と生前、ほとんど交流がなかったのに、被相続人に配偶者や子どもがいないために、棚ぼた的に財産をもらえる人のことです。被相続人のおいやめいが該当するケースが多いです。
「笑う相続人」は他の相続人にとっても関係が遠いことが少なくありません。今まで疎遠だったので、相続で争って関係が険悪になり、縁が切れても特に問題がないわけです。関係が遠い相手だからこそ、「今後関係を持たなくてもいいから、それより一円でも多く欲しい」と、戦うモードになりやすい傾向があります。
当事者間で争ううちに収拾がつかなくなり、弁護士に間に入って欲しいということで相談に来る方が多い印象です。
相続案件を手がける上で心掛けていることを教えてください。
相続の相談・依頼に関しては、親族間で揉めてしまい「どうすればいいかわからない」という状態で来られる方が多いです。依頼者のほとんどは、親族間のトラブルに直面して大きなストレスを抱えています。そういった方の気持ちにできる限り寄り添いたいと考えています。
例えば、兄弟間で揉めている場合は、依頼者が「昔は仲が良かったのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう」と気持ちを吐露することがあります。揉めてしまい、相手のことは憎いけれど、心の底では「こんなことをやっていていいのかな」と複雑な気持ちを抱いているのです。
まずは、相手方に対する愛憎入り混じった想いを打ち明けてもらい、しっかりと受け止めます。その上で、依頼者と一緒に、解決に向けた方針を検討していくことを大切にしています。
とにかく早めの相談が肝心。民事信託にも対応
相続について弁護士に相談するメリットは何ですか。
相続は家族間で生じるため、当事者で話し合うと感情的になりやすい傾向があります。勢いで言ってしまった言葉が原因で関係がこじれて、まともな話し合いができなくなることも少なくありません。弁護士という第三者が間に入ることで、冷静に交渉を進められるようになり、早期解決につながります。
理想を言うと、財産を持っている方がお元気なうちに、相続対策の相談に来ていただくのがベストだと考えています。これまで弁護士として、相続に限らず、様々な争いごとの解決に取り組んできました。身に染みて感じているのは、「争いが起きると誰も得をしない」ということです。
相続発生前の段階で相談に来ていただければ、「将来的にこんなことになりますから、しっかり対策をしておきましょう」とアドバイスして、無駄な争いを防ぐことができます。
「今はまだ元気だから、対策はもっと先でいいだろう」と考えている方でも、トラブルを避けるための人生のプランニングだと捉えて、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思っています。
相続対策のサポートをする際に大切にしていることはありますか。
「遺産は何があるか」、「相続人が誰に対して、何を残していきたいのか」「納税資金があるか」という3点を確認して、その方に最適な対策を検討することです。
よくあるのが、残された財産が不動産ばかりで、納税資金となる現金がほとんどない、という状態です。相続税の納付は相続が発生してから10カ月以内ですが、その期間に不動産を売ってお金を作ろうとしてもすぐに売れるとは限りませんし、不動産の基準価格も上昇しているのでその分算定価格が上がり、納税額も上がってしまいます。
相続発生前に相談していただければ、あらかじめ不動産を売って現金化する、生命保険に加入するなど、納税資金を準備するための対策ができます。
何度も言いますが、早めにご相談いただくことで残された人の金銭的な不安や苦しみを和らげることができます。争いが起きないように準備することの大切さを1人でも多くの方に知っていただきたいです。その一環として、終活セミナーに度々登壇し、相続対策としてできることの発信をおこなっています。
先生の事務所の強みや特徴を教えてください。
私は2020年に中小企業診断士、21年に税理士の登録をしています。そのため、当事務所にご相談いただければ、生前の遺言書の作成から死後の相続税納付、法人をお持ちの方であれば事業承継までワンストップで一気に解決することが可能です。
相続税に関する知識があるので、遺言作成にあたって、法律的な観点だけではなく税務の観点からもアドバイスできます。特に富裕層の方にとっては、相続税がどのくらいかかるかは大きな関心事です。財産の内容を伺った上で、相続税の支払額を予測し、「少しでも税負担を抑えるにはどうすればいいか」という点も重視して遺言の内容を検討します。
また、民事信託の提案をおこなっていることも特徴です。民事信託とは、財産管理の方法の1つです。認知症などに備えて、判断能力があるうちに信頼できる家族に財産を託し、意向に沿って管理や処分をしてもらう制度のことを指します。
民事信託は便利な制度です。例えば、遺言では、子どもに財産を残すことはできますが、その子どもが亡くなった後に財産を相続する人については関与できません。一方、民事信託では「財産を相続した子どもが亡くなった後は孫に」というように、最初に指定した人が亡くなった後に財産を引き継ぐ人も指定することができます。
遺言書ではできないことも可能になるのですね。
はい。民事信託の提案をしている法律事務所は、関東圏では増えてきていますが、兵庫ではまだ少ない印象です。相続対策として利用することを考えている方は、ぜひ当事務所にご相談いただければと思います。
民事信託は財産の管理を家族に委託する契約です。どの財産を、誰に、どのように管理・処分してもらうか、契約の内容を慎重に検討する必要があります。ご相談いただければ、財産をお持ちの方の意向を踏まえて、適切な契約内容をご提案します。
残される人のためにも、ぜひ一度ご相談ください
相続について相談、依頼を検討している方へのメッセージをお願いいたします。
何度も申し上げますが、「先送り」にすることにはリスクがあります。財産を残す方は「特に対策をしなくても、あとに残る人がなんとかしてくれるだろう」と考えがちですが、そううまくいくとは限りません。対策をしなかったことで、残された人の間でトラブルが起きる可能性も多いにあります。
相続に関する相談は初回無料ですので、まずは気軽にお問い合わせください。「遺言書を書いてみたい」「どう終活を進めていったらいいか」というカジュアルなご相談でも大歓迎です。
相続発生後の相談についても、できるだけすぐに相談してもらうほど、多くの選択肢の中から今後の方針を決めることができます。生前対策でも相続発生後でも、とにかく「早め、早め」を意識していただきたいです。
弁護士は怖くないですし、法外な金額を請求することもありません。そこはぜひ安心していただいて、あまり気負わずに話をしに来てもらえればと思います。