依頼者の「聞いてほしい」という思いに応えながら最善の解決を目指す
東京・三軒茶屋で地域密着型の法律事務所を経営している村山栄治弁護士(むらやま法律事務所)。これまでの弁護士としての経験を活かし、相続分野に積極的に取り組んでいます。親族間の相続においては、具体的な話し合いを進める前に、弁護士に相談して事前に知識を身に付けておくことが重要とのこと。相続について弁護士に相談することのメリットや、初回の法律相談の流れについても詳しく教えていただきました。(東京弁護士会所属)
インタビュー
決して意見を押し付けず、依頼者の話に耳を傾ける
事務所設立の経緯を教えてください。
勤務弁護士として9年間の経験を積んだ後、2010年2月に当事務所を開設しました。三軒茶屋は駅から少し離れると比較的住宅の多い地域なので、周辺にお住いの方々に頼ってもらえるような地域密着型の法律事務所でありたいと思っています。
依頼者の満足度を高めるために取り組んでいることはありますか。
相談に来られる方の中には、「まずは悩みを打ち明けたい!話を聞いてほしい!」という方も多いと思います。そのため、こちらの考えをすぐに伝えたり押し付けたりするのではなく、まずは依頼者の話をじっくり聞くことを大切にしています。
また、相手方との交渉や裁判を行う際は、相手方や裁判官とのやり取りに関する報告書をできるだけ詳しく書き、迅速に依頼者に提供するようにしています。
この報告書には主に3つの目的があります。1つ目は、依頼者がご自身が依頼した事件の内容を十分に把握できるようにするため、2つ目は、依頼者がその後の予定を把握し、スケジュールを確保できるようにするため、そして3つ目は、私自身が経過をすぐに見返せるようにするためです。報告を電話だけで済ませてしまうと、漏れが生じる可能性があるため、必ず文書として形に残すようにしています。
依頼者の「吐き出したい」「聞いてもらいたい」にもしっかり応える
相続分野に注力するようになったきっかけを教えてください。
勤務弁護士の時代から相続案件を数多く扱ってきたので、培った経験や知識を活かしたいと考えたからです。
また、当事務所がある世田谷区は住宅の多い地域であり、親族間での相続に関する悩みを抱えている方が多いため、より一層相続分野に力を注ぎ、地域密着型の事務所としてお客様のニーズに応えていきたいと考えています。
相続について、どのような相談が寄せられますか。
「遺産分割をスムーズに進めるためのアドバイスが欲しい」「話し合いをしても遺産分割がまとまらない」「遺言の内容に納得できない。遺留分を請求したい」などさまざまです。
また、生前の対策として遺言書の作成依頼を受けることもあります。遺言書を作成する際は、公正証書遺言の形式を勧めているのですが、公正証書遺言の作成には公証役場で公証人に作成してもらう必要があります。当事務所は公証役場まで徒歩10分の立地にあるため、公正証書遺言の作成もスムーズに対応できます。
相続の案件を手がける際に心がけていることはありますか。
相続に対し、複雑な思いを抱いている方は多くいます。例えば、被相続人の介護などを理由に相続人間で不公平感や不満が生じているケースです。こうした話は法律論には関係ありませんが、「吐き出したい」「聞いてもらいたい」という依頼者の思いに応えることも弁護士としての重要な役割だと思っています。全て受け止めたうえで、どのように解決していくべきかを依頼者と一緒に探っていくようにしています。
具体的な話し合いを進める前に、一度弁護士に相談を
先生の事務所では、初回の法律相談はどのような流れで進んでいくのでしょうか。
対面でのコミュニケーションを重視しているため、基本的にはメールや電話のみの相談は受け付けておりません。対面か、Zoomなどのウェブ会議ツールを通じての相談をお願いしています。依頼を承った場合には、着手金や解決時の報酬の概算についてご説明し、委任契約書と請求書を作成します。
相談に際して、事前に用意しておいた方がいいものなどはありますか。
わかる範囲で構いませんので、あらかじめ相続関係図や相続財産の物件目録を作成してもらうとスムーズです。すでに調停などの手続きが始まっている場合には、関係書類などをお願いしています。
相続トラブルが発生した場合に、弁護士に依頼するメリットは何でしょうか。
相続トラブルは感情的な争いに陥りがちです。弁護士に悩みや思いを打ち明けることで、ご自身の感情の整理ができるのではないでしょうか。弁護士であれば、相談者の主張や希望を冷静に受け止め、双方が納得できる形で解決を実現することができると思っています。
弁護士に早めに相談することのメリットは何でしょうか。
早めに弁護士に相談することで、相続に関する解決までの見通しを早めに得られ、法的な手続きをスムーズに行えます。
相続の手続きは相続放棄など一定の期間内にしなければならない手続きがありますが、期限が過ぎてしまったと思っても、始期をどこに定めるかにより対応できるケースもあるため、諦めずに相談をお勧めします。
問題が何かを把握するだけでも問題解決への第一歩!気軽に弁護士に相談を
事務所の強みを教えてください。
当事務所は三軒茶屋駅から徒歩5分ほどの立地にあり、仕事帰りの際にも気軽に立ち寄れると思います。また、私自身の自宅が事務所に近いところにあるため、土日祝日や緊急の場合でも、お電話をいただければ可能な限り迅速かつ丁寧に対応します。
これまで取り組んできた相続案件の中で印象に残っているものはありますか。
相続人が多数いる遺産相続で、そのうち話し合いに参加しない相続人がおり困っているという相談の依頼がありました。依頼者の思いや希望を十分にヒアリングした上で、私が代理人としてその相続人に直接交渉を行いました。結果、その方は遺産分割には参加しないという決断をされ、ご自身の相続分を私の依頼者に譲渡することになりました。その後、他の相続人との調停を進め、スムーズに遺産分割が進みました。
自分の相続分を他の相続人に譲渡するのは珍しいケースですが、相手方の思いや希望を十分にヒアリングし、できる限りそれに合わせた提案を行ったことが、スムーズな解決につながったと思っています。
最後に、相続のトラブルを抱えて弁護士への相談を検討している方に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
弁護士に対し敷居が高いというイメージを持っている方も多いと思いますが、まずは気軽に相談いただければと思います。中には相談だけで解決できるケースもありますし、問題が何なのかを把握するだけでも大きな一歩となります。当事者同士では解決が難しい場合は、代理人として相手方と交渉しながら解決までサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。