弁護士歴30年のキャリアと家事調停委員の経験を生かして「依頼してよかった」と言われる解決を実現
大阪府大阪市中央区北浜(淀屋橋)で「中西哲也法律事務所」を経営する中西哲也弁護士に、遺産分割など相続案件を手掛ける上での心構えや事務所の強みなどを聞きました。弁護士30年以上のキャリアを持ち、2016年からは家事調停委員も務められている中西弁護士は、その知識と経験を生かして相続トラブルを解決されています。
インタビュー
弁護士としても家事調停委員としても長年の経験
弁護士として、どのようなキャリアを歩んでこられましたか?
1993年に弁護士登録をして、2023年で弁護士歴30年を迎えました。最初は大阪の共同事務所で経験を積み、2000年に独立して今に至ります。2016年からは、家庭裁判所の調停委員も務めています。
調停委員というのは、どういったものでしょうか?
例えば相続に関する紛争の場合、当事者同士の話し合いや代理人を立てた交渉で問題が解決しない際に、家庭裁判所に遺産分割調停というものを申し立てます。
調停はどちらが正しいかを決めるものではなく、裁判所が間に入って、話し合いにより問題解決を目指す手続きです。その際に、当事者双方から話を聴いて問題点を整理し、解決(調停成立)に向けて尽力するのが調停委員の仕事です。
どういう方が調停委員に就任するのでしょうか?
調停委員には、豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人物が選ばれます。任命は最高裁判所により行われ、原則として40歳以上70歳未満の範囲で、主に弁護士、医師、大学教授、公認会計士など各分野の専門家が対象です。
調停委員を務めるようになってから、弁護士業務の取り組み方に変化はありましたか?
調停委員は、適宜裁判官と評議をしながら調停を進めていきます。相続問題を専門的に扱う裁判官と直接対話する機会を得たことで、裁判官がどういう事実や証拠に着目するのか、どういう時にどういう判断をするのかを学ぶことができました。
この経験は、私が代理人として調停を進める際に、調停委員や裁判官の視点や思考を理解するのに大いに役立っています。また、話し合いがまとまらず調停合意が成立しない場合に、事件がどのように進行するのかも深く理解できました。
様々な弁護士の仕事ぶりを見る機会を得られたことも、弁護士業務に生かすことができています。調停委員は、調停を申立てる側とされる側、両方の弁護士の仕事を直接観察することができます。
調停の進め方や主張書面の書き方、証拠の集め方などは、弁護士ごとに異なります。優れた手法を持つ弁護士から学ぶこともできれば、逆に改善の余地があると感じる場合は、それを反面教師として生かすこともできます。
依頼者の満足度を高めるための工夫
弁護士業務を行うにあたって、大切にしていることはありますか?
「依頼者の満足度を上げる」という点にこだわっています。しかし、その実現は容易なことではありません。依頼者はそれぞれ異なる価値観を持っており、何に満足するかは人それぞれです。
例えば、相手を打ち負かしてほしいという方もいれば、穏便に解決してほしいという方もいます。逐一報告してほしいという方もいれば、最低限の連絡で十分だと考える方もいます。満足度を上げるには、まずは依頼者の望みを的確に把握することが大切です。
また、迅速な連絡を心がけています。依頼者が弁護士の対応に不満を感じる場合、その原因として多いのは「連絡がとりにくいこと」です。依頼者は人生や生活にかかわる問題を抱え、不安な気持ちで過ごしているのですから、弁護士とスムーズに連絡をとりたいと考えるのは自然なことです。
私は、不在中に事務所にかかってきた電話には、すぐに折り返すように心がけています。同様に、メールやLINEも迅速な返信を心がけています。また、進捗状況や今後の予定については依頼者から問い合わせが来る前に、こちらから報告するように意識しています。
また当然ながら、満足度の向上のためには、依頼者の期待に添える結果を出すことも重要です。しかし「どんな事件でも絶対に勝てる」ということはありえないので、必ずしも依頼者の希望する結果になるとは限りません。
そのため、受任時や手続進行中の説明や調停条項案の説明をしっかり行い、納得いただけるまで話し合いを重ねてから方針を決めるように努めています。依頼者が、「こんなはずではなかった」と思うことがないように進めることが大切だと思っています。
強みを生かせる分野で依頼者の役に立ちたい
相続分野に注力している理由を教えてください。
弁護士になった当初は、所属していた法律事務所が損害保険会社の顧問をしていた関係で、損害保険会社の代理人として交通事故などの案件を処理することが多かったです。
交通事故は「過去に起きたこと」に対する賠償責任の有無や賠償額が争点になります。これに対して相続や離婚は現在進行中のトラブルであり、依頼者の現在の生活に直結した問題です。問題を解決することは、依頼者の平穏な生活を取り戻すことであり、解決できたときの感謝の気持ちがダイレクトに伝わってくるため、やりがいを感じます。
また、相続分野は調停委員の経験を生かせる分野でもあります。弁護士としての経験に加え、調停委員としての知識や経験を生かして、依頼者の役に立てるように尽力しています。
相続の分野に関して、事務所の強みや特徴を教えてください。
まず、長年にわたり調停委員を務めている経験と知識が強みです。これにより、調停の進め方や調停条項の内容、合意が難しいときにどのような方針をたてるかなどについて、依頼者に対してより的確で効果的なサポートを提供できます。
また、相続問題を抱えている方は40代以上の方が比較的多いと思うのですが、同年代や年上の弁護士に依頼したいというニーズに応えられることも、当事務所の特徴だといえます。
さらに、私は税理士資格も保有しています。相続と税金は密接に関連しており、特に遺産分割協議の段階から税金の問題を適切に考慮することが重要です。税理士資格を活かして、依頼者に対して法務と税務の両面からアプローチし、包括的なサポートを提供しています。
相続について、どのような相談が多いでしょうか?
「調停を起こされたが、どう対応すれば良いかわからない」「相続人同士で話し合いがまとまらない」「一部の相続人が自分勝手に話を進めようとしている」といった相談があります。
他にも、「遺言を書きたいが、どのように作成すれば良いか教えてほしい」「親が借金を残して亡くなったため、相続放棄について知りたい」など、相談内容は幅広いです。
関西圏だけでなく、東海や関東方面から相談に来られる方も少なくありません。
相続案件の特徴のようなものはありますか?
相続問題は元々何らかの関係がある人同士で発生します。家族や親戚など、血縁や法的な結びつきがあるため、感情的な要素が強く影響します。生前の親子関係や過去の出来事といった、家族の歴史が事件に反映されるのも、相続問題の特徴といえます。
また、元々存在していた力関係が影響を及ぼすことがあります。例えば、兄弟の関係性で、弟や妹が兄や姉に逆らえないというようなケースです。これにより、弁護士が関与しない当事者だけの協議の中では一方が優位に立ってしまうことや、不平等な合意が成立する可能性があります。
弁護士としては、これらの要素を考慮しながら適切なアプローチを行うことが求められます。
相続問題を弁護士に相談するメリット
相続について、弁護士に相談することにはどのようなメリットがあるでしょうか?
弁護士は相続に関する法的な専門知識を持っていますので、遺産分割や相続手続きにおいて正確で適切なアドバイスを受けることができます。また、依頼者に代わって相手方との交渉や手続きを行うため、依頼者は不安やストレスから解放されます。
争っている相手と話すことは、ストレスを感じるばかりでなく、自分の意見を正しく伝えられないといった面もあるかと思います。弁護士に相談することで、自分の権利を主張したり、思いを伝えられるといったメリットもあります。
早めに相談するメリットと、相談が遅れることによるデメリットを教えてください。
早期に相談することで適切な対応ができ、弁護士のアドバイスを得ながら問題解決の方針を早めに確立できます。これにより、問題が複雑化せずに早期に解決する可能性が高まります。
一方、相談が遅れると、誤った判断を下すリスクがあります。自己判断で対応してしまったために問題が複雑化し、取れる手段が限定されてしまうことがあります。例えば、遺産分割協議書にサインをした後で内容に異議を唱えても、決定事項を覆すことは難しいのです。
当事者間で不利な合意(分割協議)をして、後で取り返しのつかないことになったり、極めて大きな手間や費用をかけることになったりした事案を、代理人や調停委員として数多く見ています。
最終的に弁護士に依頼するかは、相談をした後に決めれば良いことです。自らの権利を保護し、適切な主張を行うために、早い段階で弁護士に相談してその意見を聞くことをお勧めします。
弁護士に相談するのは緊張する、という方も多いと思いますが、初回の相談ではどのような対応をされていますか?
初回相談時の限られた時間を有効に活用するために、電話やメールでの相談の予約時に大まかな相談内容を聞き取り、当日には必要な資料を持参していただくようお願いしています。これにより、初回の相談をより具体的かつ濃密に進めることができます。
また、緊張感を和らげるために、何でも話せるような雰囲気づくりを心がけています。偉そうで敷居の高そうな印象を与えないよう、年齢や地位に関係なく、フランクでオープンなコミュニケーションを意識しています。その結果、相談に来た方からは「話しやすい」「頼りになる」「優しそうでよかった」といった感想をいただいています。
最後に、相続問題で悩まれている方に向けて、メッセージをお願いします。
わからないことや困ったことがあれば、早めに相談いただくことをお勧めします。不安や疑問を抱えたまま生活することは、大きなストレスとなります。弁護士に相談して今後の見通しや、いま何をするべきかを知れば、気持ちが楽になるはずです。
当事務所では、相談しやすい環境を提供するために、初回30分の相談料を無料にしています。また、平日の日中にお越しいただくことが難しい方のために、夜間や土日の相談にも可能な限り対応しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。