税理士と共同して相続税にも配慮した解決策を提案。依頼者に寄り添い相続問題の解決を目指す
広島県広島市に事務所を構える「山本総合法律事務所」の山本幸司弁護士(広島弁護士会所属)に、相続分野の取り組みについて聞きました。弟の山本直輝税理士と連携して、税務面も考慮したサポートを提供しているという山本弁護士。相続分野における事務所の強みや、弁護士に相談するメリットについても聞きました。
インタビュー
地元広島で独立開業
事務所設立の経緯を教えてください。
弁護士登録後、東京の法律事務所に入所して活動していましたが、家庭の事情で地元・広島に戻り、2016年に現在の事務所を開設しました。
大学進学とともに上京し、それ以来東京で生活していたため、ずっと東京にいるつもりでした。広島に戻ることは想定していなかったのですが、今は広島での生活に満足しています。
東京の事務所では企業案件や相続案件が中心でした。広島では、相続を含む個人案件を多く扱っています。「困っている人を助けたい」という素朴な気持ちから弁護士を目指すことにしましたので、個人案件を取り扱っていることにやりがいを感じています。
事務所の理念を教えてください。
依頼者のお気持ちに寄り添った対応をすることです。できる限り丁寧に説明し、情報を共有しながら方針を協議して、最善の解決に向けてしっかりと戦略を練ることを努めています。
依頼者の方にご安心いただけるように、丁寧な対応を心がけております。法的な問題だけでなく、依頼者の心情にも配慮し、安心感を提供できるよう努めています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
相続問題は第三者とのトラブルとは異なり、切っても切れない関係性や積年の想いが絡むため、精神的に重い負担を感じておられる方が多いです。そのような負担を少しでも解消していただきたいとの思いから、相続案件に特に力を入れて取り組んでいます。
また、相続には様々な問題が関わってきます。例えば、会社が絡む相続案件では、非上場会社の株価の評価をどうするかといった問題が生じます。この問題に取り組むには、ファイナンスなどの経済学の知識も必要です。私は経済学部出身でファイナンスを学んだ経験がありますので、その知見を生かして対応しています。
また、税理士である弟と提携することで、税務や会計の専門的な知識を活用して相続案件に取り組んでいることが、当事務所の強みであると考えています。例えば、遺産分割の方法や遺言書の作成において、税務面も十分考慮した対応をしたり、税理士と協力して非上場会社の株価の算定を行ったりしています。
私はこれまで、遺産総額が数十億円規模で複数の会社が絡む大型の相続案件も扱ってきました。こうした事例では、遺産をどのように分けるかだけではなく、株式の評価や、会社の経営権をめぐる争い、不動産価値の評価や利用・処分の問題なども生じます。
相続問題は1つの案件の中に様々な問題が含まれています。難しい相続案件でも、粘り強く取り組み、解決に結びつけてきました。様々な案件を手がけてきた経験の中で培った知見を生かすことで、より多くの方々のお力になりたいと思っています。
依頼者が抱える悩みや不安を理解して共感する
相続に関してはどのような相談が多いですか。
遺産分割や遺留分に関するものが多いです。また、遺言書作成に関する相談もあります。
トラブルの種類は多岐にわたります。例えば、誰がどの遺産を相続するかで揉めるケースや、相続する遺産の価値をめぐり争われるケース、生前に特定の人が財産を受け取ったことを問題視するケースがあります。また、被相続人の預金が、生前に、相続人の一人によって勝手に引き出された疑いがあるとして、争いになるケースもあります。
相続案件において、広島の特徴を感じることはありますか。
相続財産に山林が含まれているケースがあり、どの相続人も引き取りを希望しないことがあります。
山林は不動産としての取引価値が低く、売却が難しい場合が多いです。所有するにしても固定資産税の負担や管理する負担もあります。そのため、誰が引き取るのか、引き取る場合の評価額をどうするのかで揉めることがあります。
これは、東京の法律事務所に勤めていたときにはあまりなかったケースとして、違いを感じる点です。
相続案件を手がける上で心がけていることを教えてください。
依頼者の話をしっかりと聞き、気持ちを理解することです。相続問題は、法的な側面だけでなく、感情的な要素も大きく関わるため、依頼者が抱えておられる悩みや不安を理解し、共感することが特に重要であると考えています。
依頼者の利益を最大化することも大切ですが、紛争の長期化を望まない方もおられるため、どのような解決が依頼者にとって最も望ましいのかを考えています。
また、相続は親族間の問題であるため、交渉する際には相手方の心情にも配慮した対応が必要な場合もあります。円満な解決が可能な事案なのに、相手方を不必要に刺激してしまうと、紛争の長期化にもつながり、ひいては依頼者の不利益になりかねません。事案ごとに、どのような対応が適切なのかを、十分検討するよう心がけています。
相続問題を弁護士に相談するメリットにはどのようなことがありますか。
相続には、法的問題が含まれていることが珍しくないため、弁護士へご相談いただくことが重要だと思います。ご相談いただくことで、法的な問題点をご理解いただけるようになります。
問題点にすら気づかずに相続問題が処理されてしまうことを防ぐためにも、弁護士に一度相談されることをお勧めします。
法的に難しい問題というのは、具体的にどのようなことでしょうか。
例えば、特別受益の問題があります。被相続人が生前に特定の相続人にだけ贈与を行っていた場合、それが特別受益というものに該当すれば、それを相続財産の「持ち戻し」て遺産分割を行います。この特別受益をめぐる争いには、法的に専門的な判断が必要となります。
次に、寄与分の問題です。相続人の中には、被相続人の生前に事業を手伝ったり、療養介護を献身的に続けていたりする人がいます。このような場合に、寄与分が認められるか、認められる場合に相続分をどのくらい上乗せするか、といった点も大きな争点となり得ます。
また、被相続人の預金を相続人が無断で引き出していた場合には、不当利得や不法行為に当たるとして、民事訴訟で解決を図る必要があります。このような場合も、法的に専門的な対応が必要です。
さらに、不動産や株価の評価方法を巡って争われるケースもあります。
相続にはこのように多くの複雑な問題が絡んできます。そのため、弁護士に相談して法的な問題点を明確にし、適切に対応することが必要だと思います。
税理士の弟とタッグを組んで、税務面を考慮したサポートを提供
相続分野における事務所の強みを教えてください。
税理士と共同対応することで、税務面も踏まえた総合的に適切な相続対応ができる点です。
例えば、遺産分割の方法によって相続税がどう変わるかを見極め、依頼者にとって最も有利な分割方法を提案します。相続開始前であれば、遺言書を作成する際に、「相続開始後にどのように分けると税務面で得になるか」といったポイントを考慮した内容にすることも可能です。
一般的に、税理士は、相続案件を多く取り扱っているわけではありません。しかし、相続税は専門性が高い税務分野です。弟の税理士は相続税の経験と実績が豊富ですので、とても信頼しています。相続税が関係する相続案件では、当初から税理士の協力を得て対応しています。税務面も踏まえた専門的な対応ができることは、当事務所の強みです。
また、当事務所は司法書士、不動産業者、土地家屋調査士とも提携しており、相続に関連する幅広いサービスをワンストップで提供できる点も大きな強みです。これにより、依頼者の方は、複数の専門家を個別に探すお手間が省け、スムーズな解決ができます。
相続分野のやりがいはどういった点にありますか。
相続問題は依頼者にとって精神的な負担が大きいものです。特に親族間での争いは、第三者とのトラブルとは違い、感情的な面が大きく絡んできます。そうした中で、依頼者のつらい気持ちを少しでも解消し、ご納得いただける解決が実現できたときには、大きなやりがいを感じます。
最後に、相続トラブルを抱えている方へメッセージをお願いします。
相続トラブルを抱えている方の中には、大きなストレスや不安を感じている方が多いと思います。何をどうすればいいのかわからず、1人で悩んでいる方もおられるでしょう。まずはお気軽に弁護士にご相談ください。専門家と話をすることで、見通しが明るくなったり、お気持ちが軽くなると思います。
当事務所は、皆様の心の負担を軽減し、最善の解決策を見つけるために全力でサポートします。どうぞ1人で悩まず、ご相談いただければと思います。皆さんの気持ちが少しでも明るくなれば、弁護士としても大変嬉しく思います。