依頼者に合わせたしなやかな対応と目標に向かってたくましく取り組む姿勢で相続トラブルを解決
自動車会社社員やゲームプロデューサーなど異色の経歴を持つ、大分県宇佐市「貞永法律事務所」の貞永憲佑弁護士(大分県弁護士会所属)に話を伺いました。「弁護士はクリエイティブな仕事」だと話す貞永弁護士が、相続分野を手がける際に心がけていることや、事務所の強みなどについて聞きました。
インタビュー
自動車会社勤務やゲームプロデューサーなど異色の経歴
事務所設立の経緯を教えてください。
大学を卒業して自動車会社に就職した後、司法試験を受験して弁護士に転身しました。
最初に入所したのは一般民事を中心に扱う千葉の弁護士事務所です。そこで様々な事件に携わる中で、弁護士としてより高みを目指すには、自分の専門分野を持つことが重要だと考えました。そこで、趣味であるゲームに関連した法律に強くなろうと、ゲームメーカーに就職して企業内弁護士として働きました。
ゲームメーカーでは、法務以外にプロデューサー業も務めました。社内のコンペに参加して企画が採用されたことから、法務部から制作部へと異動になったんです。
その後、別のゲーム会社に転職し、法務とプロデューサーを兼任していましたが、やはり事業ではなく法務に軸足を置いた活動をする方が向いていると思い、自分の事務所を開設することを決意しました。
宇佐市は私にとって親族とのつながりもあり、とても好きな土地でした。子どもを育てるにも良い環境だと思い、大分に移住して事務所を開設しました。
事務所の理念を教えてください。
私の事務所の理念は「しなやかに、たくましく」です。私は弁護士の仕事を、依頼者ひとりひとりの生き方や価値観を尊重し、最適な解決策を提案するクリエイティブな仕事だと捉えています。
依頼者が何を求め、何がその人にとって最善なのかを理解してしなやかに対応し、目標に向かってたくましく取り組む姿勢で、依頼者を全力でサポートしています。
相続分野に注力している理由を教えてください。
宇佐市は高齢者の割合が非常に高く、全人口の35%以上が高齢者です。また、土地所有者が多く、親族も多いという特徴があります。このような背景から発生する相続問題は、地域社会全体の課題となっています。
相続問題に取り組むことは、地域が抱える課題を解決することであり、地元への貢献につながると考えています。
感情論に偏らず、法律的な観点から最良の解決策を提案
相続分野ではどのような相談が多いですか。
遺産分割と遺留分に関するものが多いです。相続に関する相談は大きく2つのカテゴリーに分けられます。
1つ目は、会社経営者からの相談です。私自身が会社員としての経験を持っているため、企業の事情について理解があります。そのため、事業承継など会社経営が絡む相続の相談が頻繁に寄せられます。
2つ目は、被相続人が遺言書を残していないことに起因する相続トラブルです。特に、特別受益の訴えや、被相続人の財産を許可なく使用していた使い込み問題などが頻繁に相談されます。
相続案件を手がける上で心がけていることはありますか。
相続問題は親族間の感情が絡む問題です。依頼者の感情や価値観を尊重しつつ、どのように問題を解決すれば心が穏やかになるのかを共に考えることが非常に重要だと考えています。
財産の取り分を最大化することが唯一の目的ではなく、依頼者の感情や将来に役立つ利益、そして心地よく過ごすために必要な要素をしっかりと把握し、最適な解決策を見つけ出すことを心がけています。
また、依頼者の感情に寄り添うことはもちろん大切ですが、感情論だけに偏らず、法律的な観点から最良の解決策を提案することが、私たち弁護士の重要な役割だと考えています。
相続問題を弁護士に相談するメリットを教えてください。
親族間の感情的な対立が起こりやすい相続問題では、感情が先行してしまい、最適な解決策が見えにくくなることがあります。感情に流されることなく、客観的な視点で問題を評価する弁護士からのアドバイスは、適切な解決策を導き出す上で有効だといえます。
また、相続人の間で情報格差があると、知識が不足している方が不利な状況に陥る可能性があります。弁護士からの適切な情報提供とアドバイスにより、不利な状況を防ぐことができます。
弁護士は現実的な解決策を提供する法律の専門家です。自分の行動が正しいかを判断する際に、弁護士の意見を参考にすることで、より確実な判断ができるようになります。
依頼者の人生をヒアリングし、次のステップをデザインする
相続分野における事務所の強みはどのような点にありますか。
大分で開業する前に千葉や東京で活動をしていましたので、多様な地域での相続案件を経験していることが強みだと思います。
また、会社員や企業内弁護士としてのキャリアを持っていることが私の特徴だといえます。事業サイドからの視点を持ち合わせており、株式分割や事業承継など、会社経営との関連性を考慮した専門的なアドバイスを提供することが可能です。
相続分野のやりがいを教えてください。
依頼者が納得できる解決を提供できることです。依頼者の求める解決は、必ずしも財産を多く獲得することだけではありません。依頼者が何を大切に思っているのか、どのような解決が心地よいのかを理解することが大事です。
私の弁護士としての役割は、依頼者の人生をヒアリングし、その次のステップをデザインするプロデューサーのようなものだと感じています。依頼者が何に喜びを感じ、何が納得できるのかを紐解くことで、その人に合わせた最良の解決策を提供することが、やりがいとなっています。
最後に、相続問題で悩みを抱えている方へメッセージをお願いします。
遺産分割協議書などの書類は、一度作成してしまうと後からの修正が難しくなります。そのように、相続問題は取り返しのつかない事態に陥ることが少なくありません。そうしたリスクを避けるために、何か不安を感じたら早めに弁護士に相談してください。
紛争が予想されない場合でも、相続手続きに関して「念のため確認しておく」という考え方で相談することも可能です。専門家の意見を得ることで不安を和らげ、最適な解決策を見つけることができると思います。