相続問題を迅速かつ調和的に解決〜価値のない不動産の放棄など地域特有の問題にも対応
佐賀県武雄市で「武雄法律事務所」を経営する大和 幸四郎弁護士(佐賀県弁護士会所属)は、26年に及ぶ弁護士としてのキャリアで得た知見を活かし、地域の方から寄せられる相続問題を解決に導いています。不動産の相続放棄など地域特有の問題にも精力的に取り組む大和弁護士に、事務所の理念や仕事をする上での心構え、相続における強みなどを伺いました。
インタビュー
トラブルを早期に解決し、依頼者を精神的負担から解放する
事務所設立の経緯を教えてください。
司法試験合格後、佐賀県での司法修習を終えて間もなく現在の事務所を立ち上げました。武雄市は当時弁護士の数が非常に少なく、法律トラブルを抱えても相談先がない状況でした。誰にも相談できずに苦しんでいる方の力になりたいと思い、この場所で開業することを決めました。
地元の方が気軽に相談できる事務所として、相続をはじめ、借金、離婚、不倫・男女問題、交通事故、刑事事件など幅広い分野に対応しています。
事務所の理念や大切にされていることを教えてください。
迅速で調和的な解決を目指しています。
紛争が長引けば長引くほど、依頼者の負担は大きくなります。できる限り早めに解決し、依頼者を精神的負担から解放することがモットーです。
また、当事者にはそれぞれの言い分があり、相手方が絶対的に悪いケースはそれほど多くありません。相手方の非を徹底的に追求したり、一方的にこちらの要求を主張したりするのではなく、相手の言い分もある程度受け入れて譲歩することで、早期かつ円満な解決が期待できます。
依頼者の要望をよく聞いて、「ここだけは譲れない」という部分と、「ある程度妥協できる」という部分を整理し、譲れるところは譲って、解決に向けて努力することに力点を置いています。特に相続は親族同士の争いであり、案件が解決した後も関係性が続くため、お互いの間にしこりを残さない解決を目指しています。
家事調停委員の経験も活かし、最善の解決をはかる
相続の案件に注力されている理由を教えてください。
人間はいつか必ず亡くなります。そして、亡くなった方に家族がいて財産もあれば、相続が発生します。財産がないとしても、借金があるならば相続放棄の手続きが必要です。
相続は多くの方が人生で一度は経験することですが、法律的に難しい問題が多く手続きも煩雑です。相続人同士でトラブルになるケースも多々あります。手続きの代行や紛争解決など弁護士がお役に立てる場面が多いため、力を入れて取り組んでいます。
また、家事調停委員を務めた経験を活かせることも、相続に注力する理由の1つです。
家事調停委員になると、どのような仕事をするのですか。
遺産の分け方などについて当事者同士の話合いがまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停という手続きを利用して解決をはかります。調停は裁判とは異なり、どちらの言い分が正しいか白黒つけることが目的ではありません。あくまで話合いによって、当事者が納得できる着地点を探っていきます。
調停において、当事者から話を聞いて問題点を整理したり、その事案に合った解決策を考えて提案したりすることが家事調停委員の役割です。
家事調停委員の経験は、弁護士実務に活きていますか。
家事調停委員がどういう事実や証拠に着目しているのか、どういうケースでどんな提案をするのかを学べたことは有益だったと思います。依頼者の代理人として調停に臨む際にも、家事調停委員がどのような提案をしてきそうか、より的確な見通しを立てられるようになりました。
それによって、たとえば、「不利な条項を提案された場合にどのように反論するか」「譲れない条件を通すためにどのような主張をすれば調停委員の理解を得られるか」といった戦略も立てやすくなりました。家事調停委員の着眼点や思考を理解できたことは、調停を有利に進める上で役立っています。
価値のない不動産の放棄など、地域特有の相談にも対応
相続について、どのような案件を手がけていますか。
様々な依頼に対応していますが、1つは遺産分割に関する案件です。相続人同士が対立して話合いがまとまらないというケースもありますが、顔も見たくないほど関係が険悪でそもそも話合いが難しく、弁護士に代わりに交渉してほしいというケースも少なくありません。
相続放棄の案件も多いです。このあたりの地域の特徴として、相続財産の中に土地や家屋、山林、農地などの不動産が含まれていることがよくあります。都会と違って売却できる可能性は極めて低く、むしろ、持っているだけで固定資産税がかかったり、倒壊や犯罪の温床になるリスクがあったりして、相続することが重い負担になるんです。価値のない不動産を相続することは借金を背負うこととほぼ同じですから、放棄をするメリットがあるケースは多々あります。
相続人の方自身が、不動産を引き継ぐべきか放棄すべきかを判断するのは難しいと思います。弁護士に相談していただければ、その不動産の価値や固定資産税の金額などを調査し、預貯金など他の財産の内容も踏まえて、相続することがプラスかマイナスかを判断します。
また、財産をお持ちの方から遺言作成を依頼されることも多いです。相続人や財産の内容を伺い、ご本人の希望も踏まえて文案を作成します。遺言の有効性をめぐって相続人同士が争うリスクを避けるために、公証役場と連携して公正証書遺言の形式で作成しています。
複雑な案件には弁護士2人体制で取り組む
相続分野における事務所の強みを教えてください。
当事務所の弁護士は私1人ですが、困難な案件は、提携する吉武法律事務所の吉武秀将弁護士と協力して取り組んでいます。何代も前から手続きが放置されて相続人が数十人に膨れ上がったケースや、海外に移住して連絡が取れなくなっている相続人がいるなどの複雑なケースも、吉武弁護士と共同で取り組み、解決に導いてきました。迅速で調和的な解決を目指して最善を尽くしますので、他の事務所で難しいと言われた方もぜひ一度ご相談ください。
先生に相談したい場合はどのようにすればよいでしょうか。
まずはお電話でご連絡ください。初回相談の予約をお取りします。基本的には平日9時〜18時が業務時間ですが、事前に予約していただければ、土日祝日・夜間に相談日を設定することも可能です。
相談の際は、相続人と相続財産の内容がわかる資料をお持ちいただけると助かりますが、ない場合は無理に準備しなくてもかまいません。
初回は、相談内容を丁寧に伺って状況を把握し、見通しを立てます。そして、依頼していただいた場合の対応などをご案内し、私の方針に納得していただければ受任するという流れです。もちろん、依頼するかどうかをその場で決めていただく必要はないので、「相談だけしてみたい」という方もお気軽にご連絡いただければと思います。
相続の悩みを抱えて弁護士の先生への相談を検討している方に向けて、メッセージをお願いします。
相続問題の早期解決には早めの相談が肝心です。相続発生後、遺産分割の話合いが難航しそうな場合は、なるべく早いタイミングでご相談ください。当事務所では相続対策にも力を入れています。ご自身が亡くなられた後、残された家族が争わないように遺言を作成したいという方もぜひご相談ください。
弁護士は敷居が高いと思われるかもしれませんが、実際に相談に来ていただければ、意外と話しやすいと感じてもらえると思います。今はインターネットで手軽に弁護士を探せるので、「この人なら信頼できそう」と思える弁護士を見つけたら、一度相談してみてください。ご自身で抱えてきた心配事を弁護士に話すだけでも随分気が楽になると思います。